Agribusiness.com (ビジネスチャンスを産むバイオ情報サイト)

京大農卒業後、2005年の5月までアメリカの大学院で農業の研究者をやってました。

専門は遺伝学、育種学。テーマは抗癌作用を高めた野菜品種の開発でした。


品種開発に一区切りついたので、ビジネスを学ぶために一時帰国。
現在は都内のコンサルファームで食品会社とのビジネスに携わっています(サプライチェーン周りです。米国公認会計士も。もうすぐ取得予定)。


農業、食品安全に関する雑感を書いたり、世界の農業、バイオ、健康関連のニュース解説や論文紹介などを、行ってます。(詳しい自己紹介


2007年10月にアグリベンチャー ORYZA,LLC.を設立しました。詳細は以下から。

Oryza,LLC.: http://www.oryza-i.com/


Amebaでブログを始めよう!
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昨日の御礼

昨日の研究会も非常に盛況のうちに終了させていただき、ありがとうございました。

これからも、引き続きOryzaの活動を続けていきますので、よろしくお願いいたします。


小平

アグリビジネス研究会 (3/15 Sat @有楽町国際フォーラム)のご案内

こんにちわ。以下、関わっているアグリベンチャーのMLでのビジネス研究会の案内です。

興味のある方は、ご参加ください。私もファシリテーターとして参加します。

マニアックから、初心者まで満足させます。


■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008.3.3
発行
"Agriculture Renaissance!" オリザ通信 第2号  http://www.oryza-i.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
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こちらのメールは、オリザ合同会社にお問い合わせいただいた方や
情報提供をご希望されている方にお送りしております。
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皆様、こんにちは!
オリザ合同会社の石原でございます。

今日は桃の節句。東京では梅の花が満開ですね!

会社設立より半年近く経ったオリザでは、少しずつですが
様々な活動を通じて、農業界への「種まき」を始めています。
早く農業界に大きな花をたくさん咲かせていきたいなと思っています。

(オリザの活動状況は、ホームページの"NEWS"でチェックしてくださいね!
http://www.oryza-i.com/

それでは、今回もオリザのご案内をお送りいたします。
どうぞ最後までお付き合いくださいませ!


□■ INDEX ■□

◆ 3月15日(土)アグリビジネス研究会のお知らせ
◆ オリザ関連サイトのご案内

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◆ 3月15日(土)アグリビジネス研究会のお知らせ
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「農業で、何か『おもしろいこと』、やってみませんか?」

オリザ合同会社や「アグリビジネス」に少しでも興味を
持たれたのであれば、オリザ主催のアグリビジネス研究会に、
お気軽に参加してください。

参加資格は「農業に熱い!」 ただ、それだけです。
私たちの若き力を集結して、日本の農業界を変えていきましょう!

【日 時】   3/15(土)15:00~17:45
【場 所】   東京国際フォーラム会議室(G507)
(JR有楽町駅より徒歩1分・JR東京駅より徒歩5分他)
http://www.t-i-forum.co.jp/function/map/index.html

【参加費】  無料

【参加資格】 「農業に熱い!」「新規ビジネスに関わってみたい!」
「自分の知識・経験を、農業に活かしてみたい!」などの"意
気込み"

【内 容】   1.入門レベルからの農業業界の説明
2.実例に基づいた模擬コンサルティングコンペ
(儲かるアグリビジネスのフレームワークつくり)
3.その他

【参加方法】 info@oryza-i.com 宛に「3/15研究会参加希望」というタイトルで

本文に名前・所属・連絡先を記載して送信

【参加〆切】 3/13(木)24時
※当日の飛び入り参加もOKですが、事前準備のため
できる限り事前に参加のご連絡をいただけますと幸いです

なお、研究会終了後、18:30頃から有楽町近辺で懇親会も開く予定です。
参加ご希望の方は、その旨も明記ください!(実費負担でお願いします。)


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◆ オリザ関連サイトのご案内
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オリザ合同は、会社設立からまだ5ヶ月程度の若い会社です。
日々様々なことにチャレンジしておりますので、その様子を、
弊社ホームページにてご紹介しております。

オリザ合同会社ホームページ
http://www.oryza-i.com/

また、先日立ち上げたmixiコミュニティにも、是非ご登録くださいね!

mixiコミュニティ 「ORYZA, LLC.」
http://mixi.jp/view_community.pl?id=3040058


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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
皆様に再びお会いできますことを、オリザ合同会社メンバー一同、
楽しみにしております。

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■メルマガ変更・解除方法■
【登録アドレス変更】
新規登録希望のメールアドレスよりinfo@oryza-i.com 宛に、
「配信先変更」と現配信先メールアドレスを本文に入力して、送信してください

【配信解除】
「送信解除」と本文に入力して、info@oryza-i.com 宛に送信してください。
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□このメールマガジンに関するお問合せは → info@oryza-i.com
□その他のお問合せは → info@oryza-i.com

発行:オリザ合同会社 http://www.oryza-i.com/
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Copyright (C) 2008 Oryza, LLC.


バイオエタノールは環境破壊?

今、知ってのとおりアメリカや中南米でコーンや穀物を食用でなくバイオエタノール抽出用に栽培しています。ですが、それによって穀物の市場が影響を受け、日本でもさまざまな食用品の値上げが続いています。今日は、そのようなコーンからのバイオエタノール作成も、そろそろブームが終わりでないか、という兆しが見える話です。


「コーンややしの木とかを使ったバイオ燃料はアマゾンの熱帯雨林を減らすし、地球温暖化にも逆効果かもよ。今までのバイオエタノールが環境に良いっていってた根拠って実は間違ってるんじゃね」、っていうScienceの論文を元にした記事(Scientific American のBiofuels Are Bad for Feeding People and Combating Climate Change  )を紹介。


日本で関連する企業としては、CSR対策でバイオ燃料推進したり、バイオマスニッポンに乗っかってバイオエターノル事業に新規参入しようかなと考えている企業でしょうか。どの作物(or 植物)を使うのかちゃんと考えてやんなきゃ、がんばって2,3年後に事業が軌道に乗ったと思ったら、アメリカからの、「実はそれって環境に悪いんじゃ、、」という意見が来て、CSRも何もあったもんじゃない、ということになるかも知れません。

ちなみに、コーンととかに限った話で、他の草とかは、まだ良いという事みたいです(参考:コーンよりかも草のほうが良いエタノール取れますよ! という記事 )。


簡単に内容を紹介(ざっくりなんで細かい突っ込みは勘弁)。


バイオ燃料の地球温暖化を救って言う根拠は、空中の炭素を生体内に取り込むって所にあります。ガソリン燃やしたら、例えば100LのCO2が出来るけど、コーン作ったら光合成で50L取り込んで、エタノール抽出して燃やして100L出来たら、差し引き50LのCO2しか出来ないから、環境に良い!というのが基本的な考え方です。


じゃあ、コーンを使った場合、たとえば、もともと草地だったのを切り開いてコーンを作ってバイオ燃料作り始めたら、地球温暖化にポジティブに働くのか?例えばコーン作ることで毎年50LのCO2を減らせても、農地に転換時、10000L分のCO2を出すようなエネルギー(トラクターのガソリンとか、土壌改良用の化学肥料とか)つかうのなら、200年作り続けなきゃ、回収できないじゃん!という話になります。


その問いに答えるためには、

「”ずっと草地だった場合のCO2が草や土壌内に集積される量”」 が 「”コーンを栽培することで年間減らせるCO2の量” x ”栽培予定年数” - "草地を切り開く時に起こるCO2の増加分”」 より小さいのを証明できなければなりません。


それの試算は今まで行われていて、コーン作ったときの法がCO2の減少量は大きいという話でしたが、実際にちゃんと詳しく精査してみたら、今までの試算ってまちがってるんじゃ、、、という内容の論文のようでした。


ついでに米国のコーン生産があがる→大豆の生産量が下がる→大豆の値段が上がってブラジルでは農家がアマゾン切り開いて大豆生産→熱帯雨林減少、というのもあるし、そろそろコーン作ってバイオエタノールやめないと、地球温暖化に逆行しているんじゃね?


アメリカでもバイオエタノールって環境に良いイメージだけど、かえって環境に悪いんじゃないかという雰囲気になってきているのではないでしょうか。むしろこれからは、わざわざ野山を切り開いてバイオ燃料を栽培するよりも、野山の生態系を維持する方が環境にいいという事にもなるという環境対策のトレンドの変化が起こるかもしれません。


まぁ、燃料の安全保障とか、補助金や雇用の確保のためにバイオ燃料作って事も現実的には、あるんでしょうから、純粋に環境に良いことをやる事の難しさを感じます


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以下、私信

先日、環境キャリア就職、転職フェアで出したブースに来てくださった皆様。ありがとうございました。

吹けば飛ぶようなベンチャーですが、仕事も知り合いも増えてきて、ちょっと楽しくやってます。

ミクシのコミュ作って雑談なりもしようと思っているので、下のURLもよろしく。


農業って、環境をDisturb(撹乱)しないと出来ない人の業のようなものを持っているから面白いです。

そこも上手くマネージメントして、かつ、ちゃんと儲けてられて、持続可能な農業だと偉そうに思ってます。


Oryza,LLC.: http://www.oryza-i.com/

→会社のページ。


Agriculture Renaissance
http://www.oryza-yasai.blogspot.com/

→共同経営者のブログ。彼の方が、環境には詳しいです。

リサイクルワンでプロジェクトリーダーやってましたから。


Mixi内コミュニティ ORYZA, LLC.

http://mixi.jp/view_community.pl?id=3040058

→おととい、作りました。ブログ等の感想など貰えたら、ありがたいです。

「GMOで農作業は楽になる!」という議論

GMO(遺伝子組み換え作物)に関しては、使うことによる社会に対するコストと利益を比較し、利益が大きければ使えば良い、という立場を私はとっています。ただ、日本で除草剤抵抗性などのGMOを使うメリットというのは今の所、見当たらないので当面は日本での栽培をする必要はないとも考えています。


ですが、今回は「GMOの栽培が農家の作業負担を軽減する(だからこんなにアメリカで広がってるんだ!)」という論文を紹介します。私はGMOを推進したいわけでは無くて、米国ではこの様な議論が行われている程、GMOが一般的になっている事を知っていただき、日本でのGMO栽培が検討された際の議論の一環となればと思います。


さて、GMOのメリットとコストを比較と言いましたが、その際には農家(や関連業者)へのメリットと消費者へのメリットという切り口があります。農家に限ってみた場合、遺伝子組み換えを使用する事でどのようなメリットがあるかといいますと、1.除草剤などのコスト削減 2.収量の向上、安定化 3.作業量の低減 などの説があります。その 「3.作業量の低減」 が本当にあるのかの調査が「glyphosate」という除草剤に耐性を持つ遺伝子組み換えの大豆、綿、コーンに対して行われ、実際にあるようだという論文がイリノイ大の農業経済の研究者から出ています。彼らは、それが全米で90%の大豆、6割の綿がGMOになった原因ではないのか、と主張しています。

紹介ニュース記事:And Why Is It Again That You Plant Biotech Seed?

論文(pdf):Genetically Modified Crops and Labor Savings in US Crop Production


ちょっと中味を見てみます(以下、ニュース元から抜粋・意訳)。


2002年の調査によると:
1) Bt cotton(綿)はコットンベルト地帯で利益を増やし、農薬の使用量を低減したと思われる。
2) Bt corn の使用は少量の収量の増加をもたらし、いくつかのケースでは統計的に有意な収入の増加をもたらした。
3) 除草剤耐性大豆の使用は、収量の不安定性による売上機会損失を低減した。


2001年の調査によると:
1) 除草剤耐性大豆の使用は、(除草剤耐性GMOとセット販売されている)安価な除草剤(glyphosate)への従来の除草剤からの乗り換えを誘発した。

2) 農家は労働と管理の労力低減によるコスト削減を自覚していた。(つまり農家も楽になったなーと自覚してる)

3) 天気が悪いせいで除草剤を撒く日が変更になっても、glyphosateは大きい雑草を主に枯らすのでそんなに影響がなくなった(セットで売られるglyphosateって除草剤は大きい雑草から先に枯らすから効率が良いってことかな)

4)glyphosateに人気が集まったので、他の除草剤の値段が下がった。



まぁ、大豆と綿に関しては、楽にはなるわ儲かるわ良いことずくめだ!と、なんというか、こいつモンサントから金もらってんのか、と言いたくなる様な内容が続きます。

それはさておき、上記のような結果を受け、以下のように結論付けています(これもニュース元から抜粋、意訳)。


1) 従来の栽培法を行っている農家では、除草剤耐性大豆の導入のよって23%労働が軽減された。これは除草剤耐性大豆を農家が使用する際の強いモチベーションになってるに違いない。


2) Bt コーンも 除草剤耐性コーンでは作業時間の低減はなかった。これはコーン栽培で時間を一番要する病害虫(borers)にそれらのGMコーンが効果ないからではないか。GMコーンに関しては収量の増加が栽培が広まった主要因ではないか。


3) GMコットンは除草剤散布の労力を大幅に減らし、農家の作業量低減に貢献した。


4) 以上の理由から大豆と綿では農作業は減るよ!


ここから感想ですが、この記事を読んだときに、農家の方と消費者の方では捉えかたが異なるのではないかと思いました。消費者としては、「農家の人が楽になるのは分かるけどちょっとねぇ」、と思ったでしょうし、農家の方は「、除草剤も撒かなくてすんで害虫防除の手間も下がるのなら、もし同じ値段で売れるんだったら作っても良いかな、、、」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。私も「消費者に直接的なメリットの無い遺伝子組み換えは社会へのメリットは薄い」と思っていましたが、この論文を読んで、農家が除草剤撒かなくてすむのはメリットかもしれない、と思ってしまいました(除草剤まくと肝臓に負担がかかるし。ただ花粉飛散などの環境リスクがクリアできたらという話ですが)。


最近、食品の安全性の不安が言われていますが、如何にして真面目に頑張った農家がちゃんと対価を受け取れるかと、農作業の負担を軽くして農家の生活の質をどうやって上げるか、を考える事で、社会全体として食品の安定供給と安全性のリスク低減を確保するという議論があった気がします。この結果を見てみるとそのための選択肢として、GMOが出てくる日もそう遠くは無い事かもしれませんね。



ORYZA.LLC アグリベンチャー立ち上げ!

ご無沙汰してます。


最近、アグリベンチャーの立ち上げに参加しています。


ベンチャーの名前は、 ORYZA. LLC (オリザ合同会社) で、岐阜の実験農場での種子/農法開発、新規ビジネスモデル開発を行っています。また、当面の収益源としてはコンサルティング、調査事業等を主に行う予定です。それと、まだコンテンツは少ないですが、URLを貼っておきます。色々と仕掛けて行きたく、詳細は追記していきますので、リンクして頂ければありがたいと思ってます。


URL: http://www.oryza-i.com/

社長のブログ: Oryza & yasai's history


またアグリビジネスの研究会の参加者、とに学生インターンの募集も行っています。

研究会とインターンの詳細はトップ(http://www.oryza-i.com/ )のリンクから行ってください。連絡先もリンク先に乗っているのでメール下さい。


インターンはまだ出来たての会社なので立ち上げのワクワク感は知っていただけるかと。まぁ、まだフルタイム参加ではないですが、コンサルとか農業の事なら教えるの可能です。農業について熱く語りながら飲みましょう。勉強会も毎回、コンサルやシンクタンク、プロ農家の人などが参加熱いので興味ある人は参加してください。無料です。


上記全て連絡先 :info@oryza-i.com

Florigen(フロリゲン)について

花咲爺さんのイメージだろうか。老人が灰をまくと周りの桜が次々と開花を始める。

その、魔法のような灰はどのような物質でありえるだろう。

花の開花を研究している科学者は、そんな自由に花を咲かせる事のできる物質を”Florigen”(フロリゲン)となずけ、数十年探してきた。そして、先日,その物質、フロリゲンが見つかったというニュースが流れた。


フロリゲン自身についてはwikiの”フロリゲン ”やGoogleの検索結果 で沢山情報が得られると思うのでそちらに譲る事にして、では、実用化された際に、どのような影響があるか、QA形式で答えてみたい。


①稲の収穫量を増やすとか、食糧問題を解決になるの?


フロリゲンが何を行うかというと、花を作る準備ができた枝の先っちょのSAMと言われる細胞を花に変化させるキッカケを与える働きをする物質だ。つまり、そもそもSAMの準備ができてなければ、フロリゲンを与えても花を咲かす事もない。これは何を意味するかというと、種を蒔いてから花の咲くタイミングを限りなくゼロに近づけるという話ではない。SAMの準備ができない、つまり体が花を咲かせる=妊娠&出産 に対し、体が未成熟だと花を咲かす事はできない。


なので、そもそもSAMが成熟できないような環境(砂漠とか寒冷地)では、フロリゲンを使っても稲を育てたりはできない。また、現在、稲がもりもり育てられているような場所は基本的にそれほどSAMの成熟から、開花までリードタイムがあるわけではないので、生育期間が半分になるという事もないと思う。可能性としてあるのは、温度や栄養は十分あるのだけれども、日長の関係で稲が育てられなかった地域で、フロリゲンの散布で強制的に開花させて稲の栽培を行う事は可能だと思う。コストの関係もあるので、稲でなくてもいいが、作物の生育可能地域の拡大に寄与する可能性はある。結果は○。


②花や野菜の産業に対する影響は?


フロリゲンの発見によって”花を咲かせる技術”とフロリゲンの働きをブロックする事による”花を咲かせない技術”の進歩が見込まれる。産業的には後者の方が大事だったりする。例をあげればキャベツがある。キャベツは花が咲くとその商品価値は著しく低くなる。なので、フロリゲンをブロックする物質が見つかれば、それを散布することによって、本当は今日出す予定だったキャベツを来週の月曜まで出荷を延ばすという事はできるかもしれない。


ちなみにフロリゲンをブロックする物質まだ、聞いた事はないが、蛋白の構造さえ分かってしまえば、あとは一直線なので、アメリカの農薬メーカーが作るだろう。でもこれもまだ5年以上の話。結果は△。


③品種改良に対する影響は?

フロリゲンの話を聞いたとき、これが一番頭に浮かんだ(というか自分の専門だったからだろうか)。

アメリカでは遺伝子組み換え技術は、果樹研究の分野で良く使われている。理由は果樹の品種改良は非常に時間がかかるからだ。品種改良はAという品種とBという品種を掛けて、その子孫から選抜して、それをさらに別の品種と掛けたりして要らない形質をそぎ落としたり、味を良くしたりする。通常のフローでは、その様な掛け合わせて種を取るプロセスが5~6回は行われる。


稲なら、3ヶ月程度で交配して、種を取れるがいいが、これが柿ならどうだろう。実が取れるまで桃栗三年柿八年なので、5回交配するなら 8×5 = 40年必要となる。これが果樹の品種は親子三代かかるとか言われる理由で、この理由でアメリカでは手っ取り早く遺伝子組み換えで品種改良しようとしている。だが逆にフロリゲンを使えば、柿の実がなる期間を1年に短くできるかもしれない。そうなれば1x5=5年で新品種ができる。マーケットの事情で遺伝子組み換えを使いたくないときは、有効な選択肢だと思う。品種改良の方法自体を変える可能性があり、インパクトは大きい。結果は◎。


<結論>

マーケットでは往々にして誇張されるがバイオ技術や遺伝子組み換えは夢の技術ではない。その中でもフロリゲンは少しは期待してもいいビックニュースだったと思う。世界の食糧危機を救ったりはしないが、先進国のマーケットへの影響は高い。特に単価が高いオーガニック作物などの開花制御に使用されるのではないかと思う。それとデルモンテやサンキストなどの会社のR&D費用の削減や効率化に繋がるかもしれない。


補足1

たまに勘違いしているサイトがあるが、今回の論文の題名は"Hd3a Protein Is a Mobile Flowering Signal in Rice"(Science Express)、つまり”稲でHd3aという遺伝子から作られる蛋白がSAMに開花の刺激を伝えますよ”という内容で別にHd3aも昔から良く知られてた遺伝子だ。Hd3aとSAMの場所が離れているので、その間の伝達経路が長いこと謎だったのだけど、これが分かりましたよという論文だった。mRNAがフラフラと通ってSAMに行き着くとかいう説もあったのだけど、蛋白が直で働いているという内容。


補足2

ちなみに遺伝子組み換えでフロリゲンを作る遺伝子をリンゴだかミカンの木で過剰に働かせて、種が取れるまでの期間を短くしようという論文はすでにあったと思う。


補足3

論文読んだ内容としてはGUS遺伝子とくっつけて、GUS(蛍光物質)つきの蛋白をトレースするってそんな、難しそうでもないんだけど、何が大変だったのだろうか。たしかHd遺伝子が見つかってから大分たってると思うのだけど。Arabidopsis(雑草)でHd3aと似た入れるのFTとかは、大分まえに同定されてるはずなんだけど。その内、どっかで裏話聞けないかな。


感想

Hd遺伝子に昔、ちょっと、かかわってた事があったので、すげー懐かしかったです。HdはHeading(イネの出穂)の略で筑波の先生が見つけた遺伝子(正確にはQuantitative Trait Loci)だったかな。何にせよ、日本が海外に先駆けて、メカニズム解明したのは大興奮!むふー。 研究したくなった。

50年後に生き残れる農業


日本の農業で50年後に生き残るのは以下のようなタイプでないかと考えています。


①高付加価値、超高付加価値農業へのシフトできた企業 
②マーケティング、生産、食品事業をセット展開している企業 
③輸入野菜との差別化に成功した大規模農家


個人的に興味があるのは①です。高付付加価値は、1個1000円のマンゴーなどを想像していただければいいです。対して私の造語の超高付加価値農業というのは、遺伝子組み換えでHIVの治療薬やインシュリンを作成できるトマトの様な、本来の食品というより製薬目的での栽培を行う農業形態です。


HIVの薬を作るトマトというのは、夢物語の様に聞こえるかもしれませんが、実際に研究は進んでいますし、私の大学時代にお世話になった研究室の一つはインフルエンザ抗体を作る組み換えトマトの作成に成功していました。現在の日本の農業は③大規模農家を目指して、土木業界初め、企業の参入が進んでいますが、将来的にはワクチンのパテントを持った製薬業界などの参入も始まるかもしれません。


そこで私が一つ予測しているのは①を目指すアグリベンチャーの増加です。現在、アメリカも日本も研究者の過剰が問題になっており、非常に優秀な友人も研究職を得られず、結果的に関係ない職種につきました。もし、国が支援して世界中の優秀な若手研究者が産業化を目的にして無料で研究できる環境を与えられたら、日本農業の先端技術の厚みも増し、かつてのIT起業ブームのような状況も起こるかもしれません(大学ではどうしても論文数で評価が決定しますから産業化できる技術では弱いですね)。


②に関しては現在、成功している企業のモデルにも近いでしょう。和民フーズの例など良いかも知れません。


③に関しては、現在、大規模農業へのシフトが進んでいますが、コストを下げるというだけでなく、如何にして他の商品と差別化するか、という観点は抜けている場合が多いと思います。アメリカでは大規模な敷地で有機農業を行う例が多いですが、高温多湿の日本で大規模な有機農業をどうやって成功させるか。品質と量の両立は担当者の技術レベルが大きく関係する分野ですので、企業参入の淘汰はかなり行われると思っています(すでに始まっています)。


以上の様に、簡単に書いてみましたが、戦略決定、企業統治、IT戦略、マーケティング、SCM、CRM等に関して、現在の日本のトップ企業が行っているレベルの事を当たり前に行える事業者のみが農業でも生き残って行くのではないでしょうか。現在、閉鎖的といわれる日本農業がどの様に世界でプレゼンスを示していけるかは、関与している人間のプロフェッショナリズムに掛かっているといえます。


PR:

アグリベンチャー起業セミナー(5/12)の紹介記事

http://ameblo.jp/kokeke1/entry-10030600910.html

アグリベンチャー起業セミナーのご紹介

5月12日(土)にスクール事業を多く手がける、株式会社バンタンの主催でアグリベンチャー起業に関するセミナーが行われるようです。仕事の都合が着けば行ってみようかと思ってまして、もし興味がある方がいらっしゃったら、と紹介させて頂きます。


農業ビジネスやバイオビジネスでの起業というのは、IT関連よりハードルが高い分野であるという認識が一般的です。

PCあれば始められるネットビジネスに比して、土地や機材をどうするのか、バイオをやるにしても機器や実験用具はどうするのか、興味はあっても、実際に行動に移される前に躊躇されるかもしれません。

ただ、私もこのセミナーに参加する事で、業界の動向や、実際のビジネスの動きに対する知見を広めることができるのではないかと、期待しています。


リンク: http://vantan.jp/news/000740.html

(以下、HPより抜粋)

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■ 日程: 5月12日(土) 13:30~16:30 (13:10 開場)
■ 場所: 丸ビル ホール&カンファレンススクウェア ROOM1
            東京都千代田区丸の内2-4-1丸ビル8F
            ホームページ: http://www.hc-marubiru.jp/
■ 主催: 株式会社バンタン
■ 共催: 株式会社NOPPO


■ プログラム (予定):
13:30~ 挨拶: 石川広己 (株式会社バンタンコミュニケーションズ 代表取締役)


13:40~ 講演: 脇坂真吏 (株式会社NOPPO 代表取締役)
    >テーマ 『アグリビジネスの変革 ~これから先のアグリビジネス~』
これまで閉鎖的で見向きされてこなかった農業に関する情報は未だに限定的であり、外部の人々が農業の全体像をつかむことさえも難しいです。そこで、生産から販売までの今日の実態をお伝えすることで農業問題の整理をし、未来の農業にどのような可能性があるのかをお伝えします。


14:20~ アグリビジネスパーソン講演:
    >3つのテーマについて、それぞれの現場で活躍しているプロが生の声をお伝えします。
テーマⅠ 『株式会社で農業生産する』: (現在交渉中) 
テーマⅡ 『市民農園を経営する』: 下山博 (有限会社ドミタス 代表取締役)
テーマⅢ 『流通で差別化する』: 眞々田佐代子 (眞々田農園 営業販売担当)


15:20~ 休憩


15:30~ パネルディスカッション:
    >テーマ 『アグリビジネスの成長性』
    >司会者: 斎藤幸男 (株式会社JAMM 代表取締役)
    >パネリスト:
脇坂真吏 (㈱NOPPO 代表取締役)
(テーマⅠの講師)
下山博 (㈲ドミタス 代表取締役)
眞々田佐代子 (眞々田農園 営業販売担当)


16:30 終了


■ 受講料: 一般 10,000 / 学生 5,000
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MISC


私信など。


最近は会社設立準備や、海外での仕事とかバタバタしてます。それと、もしかしたらまた来年から大学院に戻るかもしれません。

次はオランダでビジネスとしての農業をちゃんと学びたいです。オランダ農家の平均収入はオランダ人の平均収入の2.5倍(出典:現代日本の農業ビジネス 八木宏典箸)の理由と日本へのビジネスモデルの応用がきかないか知りたいです。それか次世代がたの遺伝子組み換え(ワクチンを作るトマトなど)を自分で作って、一発あてたいです(笑)。まぁ、その場合は規制の問題からマーケットは日本以外になるでしょうが。。


それと、先日、メールでラム酒用サトウキビの品質と環境との関連に関する質問を送ってくださった方に分かった範囲ですがお答えします。長くなったのでエントリー上で失礼します。


土中の硫黄、カルシウム/マグネシウム比、有機養分の土中の割合、pHがサトウキビの品質(絞り汁内のスクロース含量、固形物含量(Brix))に影響を与えるというデータが以下の論文にありました(Sugarcane Yield, Sugarcane Quality, and Soil Variability in Louisiana Richard M. Johnson* and Edward P. Richard, Jr. Agronomy Journal 27 April 2005 )。


大まかに言うとサトウキビの生育に有効な条件が揃うほど(硫黄、カルシウム/マグネシウム比、有機養分の土中の割合が大きいほど)、Vegetation Period(日本語で行くと繁茂期?なんでしたっけ。ワサワサ葉っぱとか幹が育つ時期です。)が長くなって、砂糖や固形物の含量は下がるようです。また、有機養分(Organics Material)の含量が増える程、砂糖含量、収量は減るようですので有機栽培を行うと、(他の要因を全て無視すると仮定すると)、砂糖の絞り汁内の濃度は減るかもしれません。面白い結果ですね。


ちなみにブドウでテロワールを語る際のような微妙物質の違いを、サトウキビの品質評価の際は考慮されていないようです(参考資料:Sugarcane Moniroring Quality )。不勉強で、ラム酒の品質にサトウキビのどの物質のクオリティーが影響与えるのか存じないのですが、何本か論文を見る限りでは「サトウキビの品質」は絞り汁内の「砂糖」と「固形物含量」、それと「繊維含量」を指しているようです。感覚ベースでの回答ですが、ブドウと同じような意味合いでテロワールを使うのは今のところ馴染まない気がしますね。


DHMOを規制の対象にせよ!?

water


アメリカで「DHMOという物質は法で規制すべきか」と聞き手に質問をすると、大半の者が賛成したそうです。

以下のような性質を持つDHMOに関して、読者の方はどう感じました?

規制すべきでしょうか?



【DHMOの性質・用途】


・DHMOは水酸の一種で、ほぼ無色(ごく薄い青色)、無臭、無味であるが、毎年無数の人々を死に至らしめている。



・液体のDHMOを呼吸器系に吸引すると急性の呼吸不全を引き起こすことがある。



・犯罪者の血中、尿からは大量のDHMOが検出される。暴力的犯罪のほぼ100%が、何らかの形でDHMOが摂取されて24時間以内に発生している。



・ある種のジャンクフードにも大量に含まれ、パッケージしたものを飲用に販売している業者さえある。



・DHMOはガソリンや灯油など化石燃料を燃やした際に副産物として大量に発生する。脱硫処理のされていない石油を燃やした際にも発生する。



・DHMOは多量の中性子を含む。また、DHMOは微量ながら放射能を持つ。






さて、勘の良い方は何か変だぞと気づかれたでしょうか?


DHMOとは「」のことです。DHMOっていうのはわざと水のH2Oを難しい感じで書き直しただけです。


元ネタはここ→<http://ja.wikipedia.org/wiki/DHMO >(上記の文章もWikiからの転載)


DHMOの例はアメリカで使用されてる化学ジョークの一つだそう。

ある化学物質を体に悪そうに見せるのは簡単だし、逆もしかりという例です。少々根性が悪い感じもするジョークですが,裏を返せば企業倫理が大きく問われる分野であるという事です。


最近はあるあるの納豆問題のせいで、健康番組での言い回しがマシになってきた感じもします。

この前も厚生労働省の大腸ガンと食物繊維の因果関係の疫学調査の結果をずいぶんマトモにワイドショーが紹介しててびっくりしました。


健康情報のマスメディアの扱い方に関しては、以下のエントリーで書きました→健康ニュースの読み方


次の健康業界のトレンドとしては、化学合成系のサプリの売上現象、ハーブ、漢方系のサプリメントマーケットの拡大でしょうか。

次に槍玉に挙げられるのはビタミンのサプリメントでは無いかと思ってます。特にビタミンAのサプリメントは(喫煙者の)肺がんリスクを上げるというデータがあるし、自分が経営者なら今がビタミンサプリメントからは手を引きどきだと判断すると思います。ただしビタミン間の相互作用にスポットライトが当る可能性はあるから、マルチビタミン事業はありかな。


もし、英語に堪能な企業の担当者の方なら、FDA http://www.fda.gov/  のニュースや、NUTRA http://www.nutraingredients-usa.com/  をチェックしているだけでも、大分、トレンドに対する感覚はつかめると思います。


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